よみむめも

正しい瞬間に正しいことばを見つけるために

アーシュラ・K・ル=グィン(1978)、小尾芙佐訳、「闇の左手」、早川書房

My Favorite Expression 


「原始と文明は、同じものの段階の差に過ぎない.もし文明の反語があるとしたら、それは戦争である.この二つについて言えば、どこの世界もふたつのどちらかにあてはまる.両方ではなく.チベの熱狂的で退屈な演説を聞いていると、彼が恐怖と説得によってなしとげようとしているのは、彼らの歴史がはじまる前に彼らが選択したもの、つまり文明か戦争かの選択をむりやり変えさせることではないかと思われる.」


Light is the left hand of darkness and darkness the right hand of light.
Two are one, life and death, lying together like lovers in kemer,
like hands joined together, like the end and the way.


「シフグレソル?あれは影という古語からきている」


「インとヤン.光は暗闇の左手……これはどういう意味だろう?光.暗闇.恐怖.勇気.寒.暖.男.女.これはあなたのことだ、セレム.二人であり一人である.雪上の影」

 

Intriguing References
デューン砂の惑星フランク・ハーバート山岸真の解説より)

My Impressions
「旅に終局の目的があるというのはいい.しかし究極的には旅そのものに意義があるのだ」追っ手を避けるべく、そりで行く雪原、氷原を1300kmを超える行軍の途上にある旅人に言わせるんだものなあ、凄いなあ.
難解な「崇高について」のカント先生の目を盗んで読んだ.17年という時間をかけなければ到達できない世界からやってきた異星人の存在を受け入れること、こういうのを崇高というのですか、先生?