よみむめも

正しい瞬間に正しいことばを見つけるために

藤原辰史(2016)、「ナチスのキッチン」、共和国

Abridgment for Me火の管理が課題だった時代は、食べることは調理場から始まっていた.そして日常は食べることを中心に回っていた.調理場の火の管理は、人びとの願望と燃料とともに形を変える.燃料の発明は都市労働者を生み、都市労働は家事も工場労働の横…

アントニオ・ダマシオ(2019)、高橋洋訳、「進化の意外な順序 感情、意識、創造性と文化の起源」、白揚社

Abridgment for Meアフェクト=私が生まれてからこれまでの間に私を取り巻いた何もかも.意識上、下に関わらず、浴びた時間のできごとすべて意識=主観を自覚することヴェイレンス=今、このときが、「私」の生命(ホメオスタシス)にとってどうなのか、評価…

フェデリコ・フェリーニ、ジョヴァンニ・グラッツィーニ(1988)、竹山博英訳、「フェリーニ、映画を語る」、筑摩書房

My Favorite Expression「きみは学校に好意と感謝の念を示しているが、子どもの教育には不適当だと思っているようだね.もし教育大臣になったら、学校をどんなふうに改革するかい?」私には子どもがないし、甥や姪にもめったに会わず、いつも映画製作にかか…

ピーター・ゴドフリー・スミス(2018)、夏目大訳、「タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源」、みすず書房

Abridgment for Me「単なる物質からどのようにして知性や心が生まれたのか」がテーマ.読みながら、私の関心は「単なる物質からどのようにして知性や心が生まれたのか、ということを知りたがる心と、まったく興味を持たない心の違いはどこから来るのか」とい…

L・P・デービス(1974)、白木茂訳、「四次元世界の秘密」、あかね書房

My Impressions本棚の整理のために、処分しようと思っているものから順番に読むことにして最初に手に取った児童書.小学生のときに父が私に買って来たもので、読んだはずなのに全く記憶していない.今回読みながら「結構、難解なものを渡されたものだな」と…

アントニオ・G・イトゥルベ(2016)、小原京子訳、「アウシュヴィッツの図書係」、集英社

Abridgment for Me 奇跡だけが希望だった時間の記録 My Favorite Expression 「再び本を手に取ると、人生がまた始まる気がする」Underlined sentences「真実は戦争の第一の犠牲者かもしれない」「真実は運命の気まぐれで変わって来る.でも、嘘はもっと人間…

ニコラス・ウェイド(2011)、依田卓巳訳、「宗教を生み出す本能 進化論からみたヒトと信仰」、NTT出版

Abridgment for Me原題"The Faith Instinct : How religion Evolved and Why It endures"並行して読んだ本は「アウシュヴィッツの図書係」/アントニオ・G・イトゥルベ(2016)、小原京子訳、、集英社 と、「A3」/森達也(2010)、集英社別次元の、別の場所…

ジョナサン・ハイト(2014)、高橋洋訳、「社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学」、紀伊国屋書店

Abridgment for Me「象という直感」と「象使いという正当化」、チンパンジー的嗜好ととミツバチ的嗜好の使い分け、アメリカ的リベラル、アメリカ的リバタリアン、アメリカ的保守主義の皮を剥ぐと出て来る6つの道徳基盤(ケア、公正、忠誠、権威、神聖、自由…

R・J・パラシオ(2015)、中井はるの訳、「ワンダー」、ほるぷ出版

My Favorite Expression美しきものはよきもので、よき人はじきに美しくなる サッッフォーoj me;n ga;r kavloV o[sson i[dhn pevletai kavloV,oj de; ka[gaqos au[tika kai; kavloV e[ssetai. 容姿美しき人は、眼に映るかぎりでは美しきもの、 善美なる人もま…

呉明益(2015)、天野健太郎訳、「歩道橋の魔術師」、白水社

Abridgment for Me 私が生まれた頃から1991年まであったという、台湾のショッピングモール「中華商場」の風景がオムニバス式に描かれている.お粥や焼き餃子を食べさせる食堂の子、釘を量り売りする金物屋の子、鍵職人の家の子、時計職人の子、眼鏡屋のマド…

ジョゼフ・ミッチェル(2017)、土谷晃訳、「マクソーリーの素敵な酒場」、柏書房

Abridgment for Me1938年から1942年「ニューヨーカー」誌に掲載された記事をまとめたUp in the Old Hotelからの翻訳.禁酒法施行前後のの飲兵衛たちをとりまくニューヨークの風景の中で著者がクローズアップした個性的な人々のこだわりを取材したもの. My F…

アーシュラ・K・ル=グィン(1978)、小尾芙佐訳、「闇の左手」、早川書房

My Favorite Expression 「原始と文明は、同じものの段階の差に過ぎない.もし文明の反語があるとしたら、それは戦争である.この二つについて言えば、どこの世界もふたつのどちらかにあてはまる.両方ではなく.チベの熱狂的で退屈な演説を聞いていると、彼…

中島岳志(2017)、「親鸞と日本主義」、新潮社

Abridgment for Me 親鸞思想と国体論受容との関係、一般意思なき「国民」の誕生と、期待に続く絶望と煩悶、この時代に培われた精神に気づくこと無く忖度を重ねて作られた歴史について. My Favorite Expression 親鸞は「自分は真理を知っている」「自分は正…

菱木政晴(1993)、「浄土真宗の戦争責任」、岩波書店

Abridgment for Me1990年4月の表白で「他力たのみたてまつる悪人、もっとも往生の成因な」る真宗の信仰に拠る自己批判がなされていないことに対する告発. My Favorite Expression「わが身のわろきをしることが仏法を聞いたことの利益だ」「真俗二諦論自体が…

小野不由美(1998)、「屍鬼」、新潮社

Abridgment for Me 人の世の話. 信仰、孤独、理想、本能、欲求、摂理、秩序、執着、憎悪……ありとあらゆる面から、人の世を残酷な視点で切り刻んだ小説. My Favorite Expression 「真に不思議なのは人という命の由来ではないんです.人という器の中に宿った…

レン・フィッシャー(2006)、林一訳、「魂の重さの量り方」、新潮社

Abridgment for Me 16世紀末から17世紀という時代の教会またはジュリオ・リブリ(シンプリチオ)とガリレオ(サルヴィアティ)の間にあった「宇宙」、20世紀初めのダンカン・マクドゥーガル博士の瀕死の肉体の計量、1990年に入ってからのH・ラヴァーン・トワ…

アンドレア・ウルフ(2017)、鍛原多惠子訳、「フンボルトの冒険 自然という〈生命の網〉の発明」、NHK出版

Abridgment for Me自分の目で見たい、自分の感覚で確認したい、自分が見たこと、感じたことが独りよがりではないことを証明したい、伝えたい、という情熱を89歳で亡くなる瞬間まで絶やすことがなかったアレクサンダー・フォン・フンボルトと、彼の情熱に負け…

ケン・キージー(1962)、岩本巌訳(2014)、「カッコーの巣の上で」、白水社

Abridgment for Me 自由と暴力または忖度とコンバイン My Favorite Expression 「狂った、恐ろしいこと、あまりにも馬鹿げたことなので、悲鳴をあげることもできないし、また笑いとばすには真実味がありすぎることがーしかし、いまは霧が濃くなってきたので…

川崎修(2014)、「ハンナ・アレント」、講談社学術文庫

My Favorite Expression 歴史の自覚された始まりだけが 自覚的に工夫された新しい政治体だけが 人類から追放され人間の条件から分断され増々ふえ続けている人々を いつの日にか再び統合することができるのである. Intriguing References カント政治哲学の講…

芥川龍之介(1927)、「河童」、ちくま文庫

Abridgment for Me 詩人のトック、トックの隣りの哲学者マッグ、学生のラップ、音楽家のクラバック、硝子会社のゲエル、医者のチャック、そして漁夫のバッグ.メスの河童には霊感が強いメディアムホップ夫人以外、名前がない. My Favorite Expression わた…

中島義道(2003)、「孤独について」、文芸春秋

Abridgment for Me 生きるのが困難な人々への贈り物だ. My Favorite Expression 「根っこ」のない中間者にしていく.本物の‘der Heimatlose’に変身してゆくのだ. Intriguing References カント『判断力批判』 My Impressions 孤独を楽しむ心が教養であると…

黒岩比佐子(2010)、「パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い」、講談社

岡本達明(1978)、「近代民衆の記録7 漁民」、新人物往来社

ひょっこりひょうたん島 ライオン王国の巻、ブルドキアの巻

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千葉聡(2017)、「歌うカタツムリ」、岩波新書

Abridgment for Me 教科書で知ることができる進化生物学が整うまで、つまり、1930年以降のメンデルが改めて評価されるよりもずっと前、偉大なるチャールズ・ダーウィンの亡くなった後に始まる、研究者たちが夢中になった時間を辿ったノンフィクション(とこ…

立花隆(2005)、「天皇と東大」、文藝春秋

近代史を学ぼうとしてこなかった自分をおおいに反省して読んだ.きっと、あの政治家たちも知らないのだろう.様々な発言から、教養のレベルは、この私と大差がないように思える.1935年までの、民主主義を目指そうとした政治家・研究者たちの真剣な時間のこ…

フィリップ・アリエス(1983)、「死と歴史」、みすず書房

1.死を前にしての態度 Abridgment for Me 埋葬の位置と方法、墓の形式、文学の中での扱われ方から人の時代の中で生じた死の意味の変化を読み解く. 死が飼いならされていた時代、死に行く人が死の儀式の中心に居た時代、死者が生者と同じくらい現存し、生者…

エドワード・シルベスター・モース(1970)、「日本その日その日」1、平凡社

1874年から1875年は、日本中で“商売替え”しなければならなくなった武士の食い扶持を苦心していたようだ.児島湾(岡山)でも、この流れの中で近代の干拓が始まりつつあった.そんな時代に日本にやって来た著者には、見るもの、聞くもの、何もかもが奇異で、…

ポール・グリーンバーグ(2013)、「鮭鱸鯛鱈 食べる魚の未来」、地人館

Abridgment for Me ◯養殖漁業の総論から3点 1.背景 養殖漁業が盛んになり始める1960年代前後の科学万能信仰 例:「飼育できる」=「飼育すべき」 2.養殖漁業の流れ 公共資源(それまでは誰のものでもなかった)の私物化→養殖の効率化、生産量増大、規模拡…

樋口陽一・小林節(2016)、「憲法改正」の真実、集英社

Abridgment for Me 憲法から抜いてはいけないこと、入れてはいけないこと、憲法に手を出させてはいけない無能力の勢力、憲法の「生まれ」と「はたらき」、私の国が受け入れた恵み、選んだ恵み、歴史の中の過ちと謝罪と責任のとりかた、この国に生まれた市民…